高血圧症
高血圧症
血圧が高いといわれた方へ
血圧が高くて頭痛などが生じる場合は高血圧の治療の必要性を感じて頂けますが、自覚症状がない場合は、何も問題ないと思われている方が多いです。
しかし高血圧はサイレントキラー(静かな殺し屋)と言われており、自覚症状がないままに動脈硬化などが進行し、突然に脳出血などを発症させる疾患です。

収縮期血圧の値は140を超えれば高血圧と診断し治療を開始するわけですが、その理由の一つには右図のように収縮期血圧が140以上の場合と139以下の場合で累積死亡率に明らかな差があるからです。
ここで収縮期血圧について理解して頂こうと思います。
収縮期血圧は、心臓が収縮したときの血圧です。
腕に血圧計の腕帯を巻いて一旦血圧を上げて、次に血圧を下げていき音が聴診器で聞こえ始めたところ(単純に脈拍が振れ始めたところと考えて下さい)の血圧を言います。
たとえば収縮期血圧が180の場合を考えて頂きますと、腕の外から抑える力180と同じ力で血管内腔を内側から外側に押しているので、そこで血液が流れはじめるのです。
皮膚には知覚神経がありますので、押されている感覚があり、血圧測定時に値が高くなると、腕が痛く感じられますが、血管からは痛みの感覚が生じないので、血圧が高くても何も感じません。
しかし、全身の血管にも血管の内側から同じ力がかかっているのです。
血管に持続的に圧がかかると動脈硬化を生じ血管も痛んできますし、血管の抵抗が増加し、血液を拍出するためにはそれだけ心臓にも負担がかかってきます。
このように血圧が高い状態が継続すれば、血管が硬く・もろくなり、また血圧が高ければ、血管が破れる率も高くなるわけです。
高血圧を放置され、脳出血を発症されますと、死に至る危険性もあり、また、一命を取り留められたとしても、片麻痺が残る場合は、日常生活に制限が加わることも起こります。
健診で異常を指摘された方には、まず疾患の重要性を認識して頂けたらと思います。
健診結果により、薬による治療が必要であると理解されたとしても、自覚症状もない状態で継続して薬をするために定期的に医療機関を受診するということは非常にむずかしく面倒なことと思います。
しかし、健康な状態で長生きできるためにも、継続して治療することを一考して下さい。
初めて異常を指摘された方で、数値がそれほど高くなければ、もちろん食事・運動療法を3か月ほど行われて再度血圧を測定されたうえで判断されたらよいでしょう。
ただ、3か月後に再受診されることを忘れてしますと、次回受診されるまで動脈硬化が進行してしまいます。
治療が継続できるかどうかは、患者さんの意志によりますが、医師としては、治療が必要な方(高血圧の基準以上の方、また高血圧と診断され、降圧目標値以上の方)は継続して治療されることを希望します。
健診で異常を指摘された方は、治療を希望される方だけでなく、どうしようか迷っておられる方も、ぜひ当院にご相談ください。