糖尿病
糖尿病
糖尿病(血糖値が高い)といわれた方へ
糖尿病は血糖値が高い状態「高血糖」が続く病気です。
しかし、少しぐらい血糖値が高くてもはじめのうちは症状はないのが普通です。
ところが、その段階でも、体の中の血管や神経は少しずつ損なわれ続け、その結果として、様々な障害が現れてきます。
それが「糖尿病の合併症」なのです。
糖尿病の合併症で特に問題なものは網膜症、腎症、神経障害の三つあるため「三大合併症」と呼ばれ、糖尿病に特有、すなわち糖尿病だけで起こる障害です。
次にそれぞれについて説明しましょう。
①網膜症 についてですが、成人後の失明の主要な原因です。
網膜は眼球の奥に薄く拡がっている神経組織の膜で、瞳孔から入って来る光を感じ取る、いわば昔のカメラのフィルムのような役割をしています。
網膜には細かい血管が一面に張り巡らされています。
その血管が高血糖の悪影響を受けて眼底出血を起し、視力障害をもたらすのが「網膜症」です。
②腎症 についてですが、透析療法の原因のトップとなっています。
腎臓の外側には血管の複雑な塊である「糸球体」が無数にあって、体に不要な老廃物を「尿」として排出し、必要な物は尿細管で再吸収するという大事な働きをしています。
高血糖によって糸球体の構造が壊れ、その結果、血液中の老廃物が溜ったり、アルブミン(蛋白質の小さなもの)が尿中に漏れ出したりする状態が「腎症」です。
腎症が進行して尿毒症になると、器械で血液を浄化する「透析療法」を受けないと生きて行けません。
③神経障害 についてですが、足のしびれのほか全身に影響が及びます。
網膜症や腎症が無症状で進行することが多いのに対して、「神経障害」は早期から自覚症状が現れやすい合併症です。
最も特徴的な症状は、両足のほぼ同じ位置に現れるしびれや痛みです。
とくに夜になると症状が強くなる傾向があり、睡眠を妨げて患者さんを苦しめます。
糖尿病を放置して悪化させると、下肢に壊疽(えそ)を生じ切断することもあります。
歌手の村田英雄さんがこの病気であったことは有名です。
健診で異常を指摘された方は、まず疾患の重要性を認識して頂けたらと思います。
健診結果により、薬による治療が必要であると理解されたとしても、自覚症状がない状態で継続して薬を服用するために定期的に医療機関を受診するということは非常にむずかしく面倒なことと思います。
しかし健康な状態で長生きできるためにも、継続して治療することを一考してください。
初めて異常を指摘された方で、数値がそれほど高くなければ、もちろん食事・運動療法を3か月ほど行われて再度測定された上で判断されたらよいでしょう。
ただ、3か月後に受診されることを忘れてしまうと、次回受診されるまで動脈硬化が進行してしまいます。
治療が継続できるかどうかは、患者さんの意志によりますが、医師としては治療が必要な方(無投薬で空腹時血糖が126以上またはHbA1cが6.1%以上の方)は継続して治療されることを希望します。
健診で異常を指摘された方は、治療を希望される方だけでなく、どうしようか迷っておられる方も、ぜひ当院にご相談ください。