花粉症、アレルギー性鼻炎
花粉症・アレルギー性鼻炎
「アレルギー」とは、ある特定の物質に対して過敏に反応することをいい、このとき原因となる異物を「アレルゲン」と呼んでいます。
花粉症の場合、各種の花粉に含まれるさまざまな物質がアレルゲンになります。
アレルゲンによるものの病名として「花粉症」、症状および部位による病名として「アレルギー性鼻炎」と呼んでいます。
症状
花粉症の症状は主に目と鼻に、決まった時期にあらわれます。
- 目の症状
最も多くの人にみられ、つらい症状が目のかゆみです。
ほかにも流涙や目やに、目の異物感、充血などがみられます。 - 鼻の症状
くしゃみ、鼻水、鼻づまりが花粉症によって起こる3大症状です。
これらは目の症状とほぼ同時にみられます。 - その他
目や鼻の症状以外にも皮膚のかゆみや喉の痛み、頭重感や全身の倦怠感などさまざまな症状がみられることがあり、この時期の風邪の患者さんとの区別に困難します。
目がかゆければ花粉症、熱がでていたら風邪などと判断しますが、どちらも症状が軽くて鼻炎症状だけならば、区別ははっきり言ってできません。
患者さん個人の病歴により、毎年同じ時期に鼻炎症状が出ている方には、診断をはっきりさせるために血液検査でできるアレルゲン検査を勧めております。
原因植物の開花時期
主な原因植物の開花時期および飛散時期により原因となる花粉を推定できます。
- スギ
2月から5月までが花粉の飛散時期です。
よくゴールデンウイークまでの辛抱です。と説明しております。 - ヒノキ
スギに遅れて症状が出現し、3月から5月までが花粉の飛散時期です。
スギとヒノキのアレルギー両方を持っていることが多く、スギが終わった後にヒノキで症状がでることもあります。 - カモガヤ
5月から7月までを花粉の飛散時期とする多年草植物です。 - ブタクサ
8月から11月にかけて多量の花粉をまき散らす一年草です。 - ヨモギ
9月から11月までを花粉の飛散時期とする多年草植物です。
花粉症の治療法
治療法は薬物療法が中心になります。花粉症の治療には、
①症状が現れることを予防する初期の薬物療法 ②症状が現れた後の薬物療法 ③体質改善のための漢方薬による治療
があります。
- 初期の薬物療法
よく、「花粉の飛散開始日より2週間程度前から抗アレルギー薬を開始すると症状が出る時期を遅らせ、花粉シーズン中のつらい症状を軽くし、また、症状の終了を早めることができます。」と言われています。
実際には花粉の飛散開始日を予測することが困難ですが、テレビなどの花粉情報と自分の症状が出る時期を検討されれば、症状が出る2週間前の状況がわかると思います。 - 症状が現れた後の薬物療法
症状が現れてからの治療も特に変わりがないですが、症状が強い場合はより効果の強い薬に変更したり、点鼻薬や点眼薬を追加します。- 鼻汁、鼻づまりが強い場合点鼻薬を使用します。
直接粘膜に働くため、眠気は生じません。
鼻づまりが非常に強い時にだけ使う点鼻薬の血管収縮薬もうまく併用します。 - 目のかゆみが強い場合点眼薬を使用します。
目のかゆみが特に強いときはステロイド点眼薬を短期間使用します。
- 鼻汁、鼻づまりが強い場合点鼻薬を使用します。
- 漢方薬による治療法
漢方薬は、花粉症に対しては症状の緩和だけでなく、全身の体質改善のため、小青竜湯(ショウセイリュウトウ)などを使用します。
抗アレルギー薬の使い分け
抗アレルギー薬は眠気の有無、1日の服用回数、薬の強さなどによって使いわけます。
薬 | 1日回数 | 眠気 | 効果程度 |
---|---|---|---|
クラリチン | 1回 | ほとんどない | やや強い 1 |
アレグラ | 2回 | ほとんどない | 強い 2 |
エバステル | 1回 | ほとんどない | 強い 2 |
アレジオン | 1回 | ほとんどない | 強い 2 |
アレロック | 2回 | あり | かなり強い |
ジルテック | 1回 | あり | かなり強い |
ステロイドの飲み薬(セレスタミン、リンデロン)は非常に効果が強い薬です。
医師の指示通り短期間飲む場合は、副作用もでることはまずなく、安全性が高い治療法です。
花粉症の注意点
薬の中には、眠くなることもありますので、眠くなる場合、車の運転は避けることが必要です。中には運転が原則禁止の薬もあります。
日常での注意点
花粉症対策は、
- 花粉を出来るだけ避けることが基本
晴れて気温の高い日、空気が乾燥して風んが強い日、雨上がりの翌日が花粉の多い日といわれています。
テレビなどの花粉情報に注意し、このような日の外出は控えたほうが良いでしょう。また、花粉シーズン中の外出には、できるだけ花粉症用のマスクやメガネを着用しましょう。 - 室内に花粉を入れないように注意する。
掃除の時以外は、窓の開閉をできるだけ少なくしましょう。
外に干したフトンや洗濯物は、付着した花粉を十分に払い落してから取り込んでください。また、帰宅時は、室内に入る前に髪や衣服についた花粉をよく落とし、洗顔やうがいを心がけましょう。 - 家の周囲の雑草が原因ならば除草する。
花粉症の原因が、家の周辺に生えているイネ科やキク科の雑草の場合には、できるだけ刈り取るようにして下さい。
当院は花粉症・アレルギー性鼻炎の治療もおこなっております。